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定期健康診断について知ろう




健康診断は、労働者の健康管理のために重要な役割を果たしています。

 

目次

Ⅰ.企業が行なう健康診断の種類と賃金

Ⅱ.定期健康診断について

 1.定期健康診断の適応と項目─常時使用している従業員とは?

  定期健康診断の項目

  時短労働者の場合

 2.特定健診と特殊健診

 3.異常所見がみられた場合の措置について

 産業医面談における賃金の負担は?

 繁忙期とそうでない時期がある場合は?

Ⅲ.常時使用している者が50人以上いる企業における健康診断


 1.報告書作成はどうするの?


 2.報告書作成のページを覗いてみましょう


Ⅳ.従業員の義務


 1.事業所に指定された場所以外での受診による費用

 

 2.事業所指定以外の場所での健康診断実施後


 3.健康診断実施事態を拒否した場合

 

Ⅴ.定期健診実施後


 1.健康診断実施後の流れ

  ①結果の報告

  ②結果の通知

  ③署長への結果の報告


 2.医師からの意見聴取


 3.保健指導等


 4.面接指導等 

 ①記録と意見聴取

 ②事後措置の実施

 

Ⅰ.企業が行なう健康診断の種類と賃金

 事業者には、健康診断の実施が義務づけられています。一口に健康診断と言っても、種類は様々です。

 基本的に、健康診断にかかる費用は、事業者が負担しますが、健康診断をしている間の時間分の給料の支払いは、必要ありません。しかし、有害業務従事者の健康診断の場合には、労働時間と見なされるため、賃金が発生します。

 法廷労働時間外の場合には、当然に割増し料金が発生するので、事業主は注意が必要です。。


企業が行なう健康診断の種類。定期健康診断 雇入れ時の健康診断 特定業務従事者の健康診断 海外派遣労働者の健康診断 給食業務従事者の検便 特殊健康診断
茶色:定期的に実施が必要


Ⅱ.定期健康診断について(全ての事業所)

数ある健康診断の中でも、今回は定期健康診断について詳しく説明していきます。

定期健康診断は、年に1回義務付けられており、検査すべき内容も定められています。※職員のために、定められた以上に健診項目を増やしている企業もあります。


1.定期診断の適応と項目

 事業規模にかかわらず、常時使用する者に対し、定期健康診断を全ての会社で実施することが義務づけられている。

 

健康診断個人票を作成し、これを原則として5年間保存しなければなりません。定期健康診断に関わる費用は、事業所負担となります(健康保険組合に、補助申請を出しましょう)。

定期健康診断の項目

一 既往歴及び業務歴の調査

二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

四 胸部エックス線検査及び喀(かく)痰(たん)検査

五 血圧の測定

六 貧血検査

七 肝機能検査

八 血中脂質検査

九 血糖検査

十 尿検査

十一 心電図検査

時短労働者(パートタイム労働者等)の場合、次の①および②のいずれの要件も満たす短時間労働者は、常時使用する者に該当し、一般健康診断の対象になります。


2.特定健診と、特殊健診

 労働安全衛生法第66条には、定期健康診断と共に、深夜業務や有害業務に従事する従業員がいる場合の、特定健診や特殊健診を実施することも定められています。


3.異常所見がみられた場合の措置について

 健康診断で異常所見があった労働者に対して、医師からの意見を聴取するが義務づけられています。


〝定期健康診断〟〝特殊健康診断〟等の結果『異常の所見があると診 断された労働者』については、健診後3 か月以内に医師又は歯科医師の意見 を聴かなければなりません。

健康診断実施後から医師の意見聴取まで

※自発的健康診断とは、深夜業に従事する者が、自分で健康診断を受けること


事業者は、医師等の意見を勘案し、必要があると認めるときは、労働時間 の短縮等の『就業制限』や、『要休業』等の措置を講じなければなりません。

 地域産業保健センターに申し込めば、「異常の所見があると診断された労働者」に関する意見を陳述してくれるサービスを無料で受けられます。



3.長時間労働者の場合においても、医師による面接指導が必要


【原則①】時間外・休日労働時間が一ヶ月あたり80時間超を超え、なおかつ疲労が蓄積している労働者であって、事業者に申し出をしたもの。

 

【例外②】新たな技術、商品または役務の研究開発業務に従事する労働者であって、時間外、休日労働時間が月100時間を超える者


【例外③】高度プロフェッショナル制度により労働する者であって、1週間の健康管理時間が40時間を超えて、その超過時間が1ヶ月で合計100時間を超える者


賃金の負担は?

面接に対する賃金は、当然事業所が負担するものとします。 

①の面接に要する時間に対する賃金においては、必ずしも事業者が負担すべきものではなく、労使で協議して決めるものとなります。(賃金を支払うことが望ましい)

②③の面接に要する時間に対する賃金は、労働時間と解されるため、当該面接指導が法定時間外に行なわれた場合には、割まし賃金を支払う必要があります。

 産業医の高ストレス者のスポット面談の平均金額は4~6万円ほどです。


残業時間が月80時間を超える繁忙期と、ほとんど残業時間のない時期がある場合は?

 繁忙期により残業時間が増えたことで、疲労が蓄積している従業員が申し出た場合には、産業医面談が可能です。


Ⅲ.常時使用している者が50人以上いる企業における健康診断

従業員数50人以上の企業においては、健康診断の実施だけでなく、その結果を報告書として労働基準監督署に提出する必要があります。


1.報告書の作成はどうするの?

定期健康診断結果報告書様式(定期健康診断結果報告書はインターネット上で作成できるようになりました。)

※令和4年10月1日に様式が改正されました。


2.報告書作成のページを覗いてみましょう

報告書は、以下のサイトから簡単に入力が可能です。入力前に、労災番号の確認が必要です。

https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/


操作方法は、こちらに詳しく記載されています。

https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/category/manual.html#reuse



Ⅳ.従業員の義務

 労働者は、事業者が実施する健康診断を受けなければなりません。ただし、ご自身が希望する医師や歯科医師に健康診断を依頼したい場合がありましたら、事業者にその旨を申し出れば事業者が指定した医師等の健康診断を受ける必要はありません。


1.事業所に指定された場所以外での受診による費用

 事業者が指定した医療機関以外での受診を希望した場合には、自己負担となることがほとんどです。


2.事業所指定以外の場所での健康診断実施後

 健康診断実施後は、必ず事業所にその旨を報告し、健診結果を提出しなければ、健康診断を受けたとみなされません。


3.健康診断実施事態を拒否した場合

 労働者の中には、自分の身長や体重を知られたくない、持病を知られたくないなどと思っている方もいます。しかし、事業所は労働者に健康診断を受けさせなかった場合には、50万円以下の罰金が課せられるリスクがあります。

 まずは、従業員に理由を問い、健康診断を受けられるよう配慮します。

 それでも従業員が健康診断を拒否した場合には、原則として当該従業員に対して懲戒処分を課すことが可能です。


Ⅴ.定期健康診断実施後

 定期健康診断を受けることも大事ですが、それ以上に受けた後の対応が重要です。つまり、「健康診断を受けただけ」にするのではなく、疾病の予防や健康維持増進に努める取り組みが必要です。

 大まかには、以下のような流れで進みます。


1.健康診断実施後の流れ


 ①結果の報告

 健康診断の結果を記録する必要があります。その結果に基づき健康診断個人票を作成し、5年間保存する必要があります。


 健康診断個人票はこちらからダウンロードできます。

②結果の通知

 事業者は、実施義務のある健康診断を受けた労働者に対し、遅延なく結果を通知しなければなりません。※所見の有無は問われません。


③署長への結果の報告

 健康診断実施後、所轄労働基準監督署長に結果報告をする必要がある場合があります。詳しくはこちら


2.医師からの意見聴取はこちら


3.保健指導等

 事業者は、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行なうよう努める必要があります。一方労働者も、保健指導を利用して健康保持に努めるようにしましょう。


4.面接指導等

 面接指導に関する詳しい内容は、こちらをお読み下さい。

 

 ①記録と意見聴取

 事業者は、面接指導の結果の記録を作成し、5年間保存しなければなりません。また、医師の意見を遅延なく聴かなければなりません。

 

 ②事後措置の実施

 事業者は、医師の意見から必要があると認める時には、労働者の事情を考慮して、労働者の区分に応じた措置、医師の意見の衛生いい解又は安全衛生委員会等への報告、その他の適切な措置を講じなければなりません。


【原則①】

 就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少の措置

【例外②】

 就業場所の変更、職務内容の変更、年次有給休暇をのぞく有給休暇の付与、労働時間の短縮、深夜業の減少等の措置

【例外③】

 年次有給休暇をのぞく有給休暇の付与、労働時間の短縮、健康管理時間※2が反収されるたもの配慮等の措置


※1 原則①例外②・③にいてはこちら

※2 健康管理時間とは、対象労働者が「事業場内にいた時間」と「事業場外において労働した時間」の合計の時間



いかがでしたでしょうか?

定期健康診断についての基礎知識、従業員数が50人以上になった場合や、長時間労働を余儀なくされる場合の対応について理解が深まったと思います。


当社は、従業員の健康診断受診の有無、産業医による就労判定や、異常所見がみられた場合の従業員に対する受診推奨をサポートしておりますで、お気軽にご相談下さい。



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